モデル生物実験とラボオートメーションの最前線

研究自動化ブログ

 近年、バイオ研究におけるラボオートメーション(実験自動化)が急速に進歩しています。特にモデル生物(例えば大腸菌や酵母から、線虫、ゼブラフィッシュ、ショウジョウバエまで)の研究では、自動化技術の導入によって実験効率や精度が飛躍的に向上しつつあります​(massrobotics.org)。
 本記事では、モデル生物研究に焦点を当て、最新のラボオートメーション技術動向を紹介します。シャーレ上のコロニー自動ピッキングから線虫実験の自動化、さらにゼブラフィッシュやショウジョウバエなどへの応用事例を概観し、大手企業R&D部門やDeepTechスタートアップがこれら技術を導入するメリットや課題について考察します。最後に弊社、東北大学発スタートアップである株式会社 QueeenB の取り組みを例に、こうした自動化技術がどのように現場に貢献できるかを紹介します。

シャーレ上のコロニー自動ピッキング技術の進展

 培養皿(シャーレ)上に現れる微生物コロニーを選択・分取する「コロニーピッキング」は、これまで研究者がピペットや針を使い手作業で行うことが多く、時間と労力のかかるステップでした。しかし、画像処理技術とロボット工学の進歩により、この作業を自動化する装置が登場しています。例えばSinger Instruments社のPIXLは、ペトリ皿上のコロニーをカメラで検出し、自動で目的のコロニーを選別・吸引してマルチウェルプレートへ転送するロボットです​。手作業で起こりがちなヒューマンエラーを無くし、99%に迫る高いコロニー移送成功率を実現したと報告されています​(singerinstruments.com)。このような市販の全自動コロニーピッカーにより、スクリーニング工程のスループット向上が可能となり、たとえば従来数日かかっていた数百クローンのピック作業が数時間で完了するようになります。

 一方で、従来の商用コロニーピッキングロボットは数千万円規模にも及ぶ高価格なものが多く、小規模な研究室には手が届きにくい状況でした​(frontiersin.org)。こうした課題に対し、オープンソースと既存機器を組み合わせた低コストな取り組みも現れています。スペインの研究者らが開発したCOPICKは、市販のオープンソース自動液体ハンドラ「Opentrons OT-2」にカメラを増設し、画像解析によってシャーレ上のコロニーを自動検出・選択するシステムです​。ソフトウェアでコロニーの大きさや色、蛍光強度などの基準を設定すると、その条件に合致するコロニーをロボットアームがピックし、培養液へ移す工程まで実行します​。COPICKは大腸菌シュードモナス(P. putida)のコロニーでテストされ、1時間あたり約240コロニーというピッキング速度と、73%程度の選択精度を達成したと報告されています​。この成果は、高価な専用機に頼らずとも、身近なロボットとAIでコロニーピッキングの自動化が可能であることを示しました。

 さらに最先端の研究例として、AIを活用したスマート・ピッキング技術があります。2024年にはヒト腸内細菌叢の解析を目的に開発されたCAMIICulturomics by Automated Microbiome Imaging and Isolation)というロボットが報告されました​(mewburn.com)。CAMIIはシャーレ上の多数の菌コロニーの形態学的特徴(濃淡、サイズ、色調など)を高解像度で撮影・解析し、機械学習によってコロニーの多様性を評価します​。その上で、人手によるランダムなピックよりも多様な菌種を取得できるよう、「スマートピッキング」アルゴリズムによって代表的なコロニー群を自動選択・分離します​。Nature誌に報告された成果では、この手法によりヒト由来サンプルから394種類ものユニークな細菌株(16S rRNA遺伝子型ベース)が単離され、元の試料中で存在量上位のASVの80%以上を網羅する高多様性バイオバンクを構築できたといいます​。またCAMII開発チームは、特定の細菌属ではコロニー形態に固有のパターンがあることを利用し、コロニー画像だけで菌種を推定する機械学習モデルの構築にも成功しています​。

 このように、画像解析とAIを組み合わせた自動コロニーピッキングは、単なる作業効率化に留まらず、これまで培養・単離が困難だった菌の発見微生物多様性の解明にも大きく貢献しています。

線虫(C. elegans)実験の自動化技術

 線虫C.エレガンスは、発生生物学や神経科学、老化研究など幅広い分野で利用されるモデル生物です。その体長1mm程度の透明な体内には神経・筋肉・消化管などが備わり、ヒトを含む高等動物の遺伝子と相同な遺伝子も多く保存されているため、全身レベルで遺伝子機能や薬剤効果を調べるのに適して(eurekalert.org)。しかし、線虫研究の実験手法は伝統的に手作業に頼る部分が多く、例えば寒天培地上の線虫個体をピック(針ですくい上げて移す)したり、顕微鏡下で寿命や行動を観察したりといった作業は時間と熟練を要するものでした​

 近年、こうした線虫実験にも自動化の波が押し寄せており、複雑かつ煩雑な操作をロボットや専用装置で代行する試みが進んでいます。ロボットによる線虫ハンドリング自動化の一例が、2023年に報告されたWormPickerという汎用ロボットシステムです​

ロボットによる線虫ハンドリング自動化の一例が、2023年に報告されたWormPickerという汎用ロボットシステムです​。研究者らは電動ステージ上にカメラとロボットアームを備えた装置を開発し、標準的な寒天培地プレート上で線虫を扱う様々な操作を自動化しました​(academic.oup.com)。まずカメラと画像解析(マシンビジョン)によって、寒天上の線虫個体を自動検出し、発達段階(幼虫・成虫)、形態、大きさ、性別、蛍光タンパク発現パターンなどをフェノタイピングします​。次に、その解析結果に基づいて、ロボットアームが目的の個体を選択的にピックアップして別の培地へ移します。ピックには自己滅菌機能付きの細いループ(針ループ)を用い、容量センサーで接触を検知しながら慎重に個体を掬い上げる仕組みです​。著者らはこのシステムにより、線虫の交配や品種改良、遺伝子マッピング、外来遺伝子のゲノムへの組み込み(トランスジェネシス)といった複雑な実験プロトコルを自律的に実行できることを示しました​。従来は研究者の手に委ねられていた操作をロボットが再現し、その再現性スループットが人手と遜色ないレベルに達したことは、線虫研究における大きなブレークスルーといえます​。このようなロボットを使えば、大量の線虫を扱う遺伝学実験や創薬スクリーニングも、人手では不可能なスケールで実施できるようになるでしょう。

 一方、線虫を用いたハイスループットスクリーニングには、ロボットアーム以外のアプローチも取られています。例えばマイクロ流体デバイスとイメージングを組み合わせ、数百~数千の線虫を自動で操作・解析するプラットフォームも開発されています。ジョージア工科大の研究では、脊髄性筋萎縮症(SMA)モデルの変異体線虫を対象に、マイクロ流路へ線虫を高速に流し込みながらカメラで神経変性の指標を測定し、遺伝的抑制因子(サプレッサー変異)を探索する実験を自動化しました​。その結果、1時間あたり約300匹という驚異的な速度で線虫をスクリーニングし、運動ニューロンの変性を有意に抑制する21種類もの変異アレルを新たに同定しています​。このようにマイクロ流体技術と画像解析アルゴリズムを駆使した自動化により、従来は膨大な労力が必要だった突然変異体探索が飛躍的に効率化されています。

 線虫実験におけるデータ取得・解析の自動化も重要なトピックです。特に寿命や健康寿命の測定、行動解析などでは、人手での観察記録には主観的なバイアスやヒューマンエラーが入りやすく、再現性に課題がありました​。この点、画像解析とAIを組み合わせた自動測定システムが登場しつつあります。熊本大学のグループはC-HAS線虫全自動健康寿命測定システムC. elegans Health lifespan Auto-monitoring System)と呼ばれる新システムを開発し、線虫集団の寿命を質的側面から評価することに成功しました​(eurekalert.org)。C-HASでは一定時間間隔で撮影した線虫培地の画像を重ね合わせ、各線虫が生存中か死亡したか、あるいは生存しているが不活発な「不健康」状態かを判別します​。この自動解析によって、線虫集団を「平均的に生きる群」「健康長寿の群」「健康だが短命な群」「不健康期間の長い群」といったカテゴリに分類する健康寿命評価が可能となりました​。研究チームはC-HASを用いて健康寿命に寄与する新規遺伝子の同定に成功しており、従来は困難だった「線虫を使って健康寿命を測る」というアプローチが実現できたと述べています​。さらに現在、このシステムに深層学習(ディープラーニング)を組み込んだ「C-HAS-AI」へ発展させる研究も進めており、画像からの自動判別精度や分析の高度化が期待されています​。このようなAI駆動型の自動解析技術は、線虫研究のみならず広くモデル生物実験全般で人手による評価のバラツキを無くし、定量的で再現性の高いデータ取得に役立つでしょう。

ゼブラフィッシュ、ショウジョウバエ等における自動化動向

モデル脊椎動物であるゼブラフィッシュ(熱帯魚の一種)や、遺伝学の古典的モデルショウジョウバエ(果実蝿)といった生物でも、自動化技術の活用が進んでいます。ゼブラフィッシュは発生学や創薬スクリーニングにおいて重要なモデル生物で、その胚(受精卵)は透明で数も多いため、大規模実験に適しています。しかし従来、受精卵を顕微鏡下で一つ一つ観察し、健全な胚を選別したりプレートに並べたりする作業には数時間を要し、大きなボトルネックとなっていました。これに対し、スイスのスタートアップBionomous社が開発したEggSorterという装置は、微小なカップに流し込んだゼブラフィッシュ胚をカメラで自動検査し、健全な受精卵か未受精卵かを瞬時に判別して仕分けします(globalseafood.org)。EggSorterの導入により、胚の選別にかかる時間が従来の数時間から数分程度に短縮されることが報告されています​。実際、EPFL(ローザンヌ連邦工科大学)のチームはこの装置によって胚選別の自動化に成功し、実験準備のタイムロスを劇的に削減できることを示しました​(massrobotics.org)。ゼブラフィッシュ研究では他にも、ロボットアームで胚に化合物を注入する装置や、何百匹もの仔魚の行動や心拍を同時モニタリングするイメージングシステムなど、さまざまな自動化プラットフォームが開発されています​(journals.biologists.comjournals.plos.org)​。これらの技術により、創薬スクリーニング毒性評価を高いスループットで行ったり、長時間の発生過程を自動追跡して解析したりといったことが可能になっています。

 ショウジョウバエ(キイロショウジョウバエ Drosophila melanogaster)は遺伝学や神経科学の分野で不可欠なモデル生物ですが、小さく素早く動く成虫ハエを扱う作業は非常に煩雑です。伝統的には、ハエを麻酔(二酸化炭素や低温)で一時的に動けなくしてから選別・移動する手法が用いられてきました。この麻酔操作自体が手間であるうえ、ハエの行動や生理に影響を及ぼすため実験結果を歪める可能性も指摘されています​。こうした課題を解決するため、近年では協働ロボット(コボット)を活用したユニークなソリューションも登場しました。2024年、ABB社と米テキサス小児病院の研究所は共同で、麻酔せずに生きたハエを自動で移し替えるロボットシステムを開発しています(​new.abb.com)。このシステムではABB社のデュアルアーム協働ロボット「YuMi」を使い、人間の研究者が行うのと同じように2本の腕で古い飼育バイアル(餌容器)と新しいバイアルを持って「フリップ(ひっくり返し)」し、トントンと叩いてハエを移す動作を再現します。ハエはバイアルの中で移し替えられるため外に逃げ出すことがなく、麻酔処理が不要となりました。この世界初の試みは、ハエの日常的なお世話(定期的な継代・餌交換)に費やされる時間を20%削減しつつ、ハエ本来の行動状態で扱えるため実験データの精度向上にもつながると報告されています​。ショウジョウバエ研究では他にも、麻酔下ではなく覚醒状態のハエ個体をロボットで精密に把持・操作する研究が進められており​(pmc.ncbi.nlm.nih.gov)、自動化によってこれまで観察できなかった自然な行動下での大量データ取得が可能になりつつあります。

 このように、モデル生物全般にわたりラボオートメーション化が進展しています。生物種ごとの課題(サイズの極小さ、動きの速さ、培養環境の特殊性など)に対応した創意工夫により、以前は人手に頼らざるを得なかった操作をロボットや自動装置が肩代わりする時代が到来しつつあります。その結果、単に作業の省力化・高速化が図れるだけでなく、人では不可能だった大規模実験や精密観察を実現し、新たな知見をもたらすことが期待されています。

大手企業R&D・DeepTechスタートアップ向け:導入メリットと課題

ラボオートメーションの進歩は、学術研究のみならず企業のR&D現場にも大きな恩恵をもたらします。製薬やバイオテクノロジー企業の研究所では既に自動化設備の導入が進んでおり、プロセス全体のスループット最大化コスト削減によって競争力を高めています​(frontiersin.org)。一方で近年は、スタートアップやアカデミアでも入手可能な小型・安価な自動化ツールが増え、必ずしも巨額の設備投資をしなくても自動化のメリットを享受できるようになりつつあります​。ここでは、特に大手企業の研究開発部門やDeepTech系スタートアップがラボオートメーションを導入するメリットと、その際に直面しがちな課題・解決策について整理します。

導入による主なメリット:

  • 作業効率・スループットの飛躍的向上: ロボットは人手では到底さばききれない量のサンプルを連続処理できます。例えば前述のショウジョウバエ移送ロボットは、研究者のルーチン作業時間の約20%を削減しました(​new.abb.com)。また自動化により24時間連続運転も可能になるため、実験サイクルを短縮し研究開発のスピードアップに直結します​。大手企業R&Dでは新薬候補のスクリーニング数を増やしたり、スタートアップでは限られた人数でも膨大な実験を回せるなど、スケールメリットが得られます。
  • 人的コスト削減と人材の有効活用: 単純作業の自動化により、研究者や技術者は反復作業から解放され、より創造的な業務(実験デザインやデータ解析、戦略立案など)に時間を充てられます​。これはイノベーションの加速にもつながります。熟練技術が必要だった作業を機械が担うことで、作業者の熟練度に左右されず一定の結果が出せるようになり、トレーニングに要するコストも削減できます。
  • 実験データの再現性・信頼性向上: ラボオートメーションはヒト由来のばらつきを低減し、毎回同じ条件・手順で実験を行えるため、データの再現性が向上します​。実際、科学界では他人の実験どころか自分の実験ですら再現できないケースが多発し、「再現性クライシス」とも呼ばれる問題になっています。2016年のNatureの調査では、70%以上の研究者が他人の実験を再現できず、60%以上が自分の実験さえ再現できなかったと報告されています(​massrobotics.org)。自動化システムは人為エラーを減らし、手順を標準化することで、この問題の緩和に貢献します​。例えば液体ハンドリングをロボット化すれば、ピペッティングの誤差や計量ミスが劇的に減少し、装置間でのデータ共有により異なる研究所間でも統一プロトコルで実験できるようになります​。
  • 品質・安全性の向上: 自動化によって実験条件の精密な制御が可能となるため、試料のコンタミ(汚染)リスクや人的ミスによる試薬調製ミスが減少します​。また、危険な薬品や感染性素材を扱うプロセスをロボットに任せれば、作業者の曝露リスクを下げ労働安全を高めることにもつながります。これは企業のコンプライアンスや労務管理上も大きな利点です。

導入時に考慮すべき課題と解決策:

  1. 初期コストとスケールの課題: 従来、大規模なラボオートメーション設備は導入に数千万円単位の投資が必要で、中小規模の組織には高いハードルでした​。近年は小型の協働ロボットやオープンソース機器によって低コスト化が進んでいるものの、目的に合った機器を慎重に選定し、必要最小限の構成から段階的に導入することが重要です​。例えば最初は特に負荷の大きい1ステップだけ自動化し、効果を検証してから拡張することで、過剰投資や未使用機器の発生を防げます。またラボスケールの卓上装置であれば既存の実験台やクリーンベンチに収まるため、研究室の改装コストも抑えられます​。
  2. 技術習得と運用体制: ハイエンドなロボットを導入しても、使いこなす人材がいなければ宝の持ち腐れです。操作トレーニングメンテナンス体制の整備は不可欠で、導入初期から担当者への教育やルール作りを行う必要があります​。最近ではプログラミング知識がなくても扱えるノーコードの操作インターフェースを備えたシステムも登場しており​、専門知識のない研究者でも直感的にロボットを動かせるよう工夫されています。例えば装置ごとにGUIベースのシナリオ作成ツールを用意し、ドラッグ&ドロップで実験手順を自動化できる仕組みが普及しつつあります。さらに、万が一トラブルが発生した際のメーカーサポートや予備部品の確保も、運用を止めないための重要なポイントです​。
  3. プロトコル適合性と組織内連携: 自動化を成功させるには、現行の実験プロトコルや研究フローとの適合性を十分検討する必要があります。ロボット導入によって実験手順自体を見直すケースもあるため、研究者とエンジニアが協力してワークフローを最適化することが望まれます​。また、大企業では研究部門だけでなく情報システム部門や生産部門との連携も重要です​。部門間で目的や要求仕様を共有しないまま進めると、「買ったはいいが使われないロボット」が隅に追いやられる事態にもなりかねません​。解決策として、導入目的を明確化した上で各ステークホルダーの合意を取り、小さな成功体験を積み重ねながら徐々に信頼と活用範囲を広げていくことが肝要です。

以上のように、メリットを最大化しつつ課題を克服することで、ラボオートメーションは大手企業からベンチャーまで幅広い研究現場で強力な武器となります。実験の高速化・省力化だけでなく、データの質と量を向上させ、新たな研究開発の可能性を切り拓く鍵として注目されています。

QueeenBの自動化技術と今後の展望

 最後に、弊社の取り組みを紹介します。QueeenB(クイーンビー)は東北大学発のスタートアップ企業で、「あらゆる研究室にラボオートメーションを」というミッションのもと、低コストかつオーダーメイドな研究自動化ソリューションの開発を進めています​。特徴的なのは、工業用途の汎用ロボットアーム3Dプリンター製のカスタムアタッチメントを組み合わせるアプローチです​。これにより、従来は自動化が難しいとされてきたニッチな実験プロトコルにも柔軟に対応し、各研究者のニーズに合わせた装置を短期間・低コストで作り上げることを可能にしています​。また、東北大学の研究所との共同研究で、3Dプリンターとロボットアームを活用した安価で柔軟なラボオートメーションの実現に取り組んでおり​、その強みを活かして様々な企業・研究機関の自動化ニーズに対応してきた実績があります​。

 モデル生物研究においても、QueeenBの技術は大きく貢献し得ます。弊社は2024年、バイオ創薬スタートアップのBioPhenolics社と共同でコロニーピッキングの自動化システム開発を開始したと発表しました​。前述のようにコロニーピッキングは多くの研究現場で課題となっているプロセスですが、本システムは3Dプリンター+ロボットアームの開発体制により低コストでカスタマイズ容易なシステム構築を目指しています​。さらに、専門的なプログラミングなしで操作できるノーコード型の制御ソフトウェアを開発し、従来は熟練者にしか扱えなかった自動化機器を誰もが利用できるように設計しています​。これらの取り組みにより、「ラボオートメーションは高価で難しい」という固定観念を覆し、自動化未導入の研究機関が一歩を踏み出す際の障壁を大きく下げることを目指しています。また、本システムは「クリーンベンチに収まる卓上サイズ」で提供できるソリューションにフォーカスしており​、既存設備を活かしながら省スペースで導入できます。これらは2025年春ごろリリースの予定ですので、ぜひ楽しみにしていてください。

 今後、様々な研究機関・スタートアップの進展により、研究現場でのオートメーション普及はさらに加速していくでしょう。そんな中で重要なのは、単なる装置の提供に留まらず、現場ごとの課題に即したカスタマイズ導入後のサポートを含めた包括的なソリューションを提示できることであると、私たちは考えております。QueeenBは研究者コミュニティとの連携や実証実験を通じてユーザー目線の開発を心がけており、「まずは実現可能性試験から開始し、本格導入へつなげる」という段階的アプローチも提案しています​。初めて自動化を導入する企業様にとって、ぜひその最初のハードルを下げていければと考えております。

 もし貴社の研究現場でも「実験の自動化」にご関心がありましたら、是非お気軽にお問い合わせください。最新センサー技術との連携や異分野への応用など、同社ブログでは先端トピックも含め情報発信が行われています。また、研究開発型のDeepTechスタートアップとして成長中のQueeenBは、共にラボオートメーションの未来を創る人材も募集しています。実験自動化に情熱を持つエンジニアや研究者の方は、ぜひ問い合わせフォームからコンタクトを取ってみてください​。ラボオートメーションの力で研究の可能性を拡げる挑戦に、参加してみる価値は大いにあるはずです。

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